走り書き RUNコラム

40代主婦 抱腹絶倒 ランニングダイエット物語

トップランナーでも有名監督でもない40代主婦エッセイ漫画家。

ふとしたきっかけでジョギングを始め、それがいつの間にかハマってしまう。その気持ちの変化をうまく表現しています。私自身もそうでしたので、ものすごく共感できる内容です。

これからジョギングを始めたいという初心者にはもちろんおすすめで、ぜひ読んで頂きたいのですが、走ることに興味がない人でも、この本を読むと、ちょっと走ってみたくなるのではないでしょうか。それくらいこの本には「走ることの楽しさ」をうまく伝えてくれています。

約1年後にハーフマラソンで大会に参加するのですが、そこまで走り続けることができた要因や、モチベーションの維持。その点につきましても大変参考になります。またハーフマラソンに向け大会3ヶ月前からのトレーニングメニューも掲載されていますので、ハーフを目指している方はぜひ参考にしてください。

著者はマルサイさんで、本は漫画とエッセイで構成されとてもわかりやすいです。本の監修にはランニングアドバイザーも加わっていますので、ランニングの進行状況に応じた筋トレ、ストレッチ、注意点のアドバイス等も掲載していますので、初心者のためのランニング実用書としても十分役割を果たしてくれています。

タイトルは「40代からの心と体を整える ゆるランニング もちろんやせます」と長いですが、内容はギュッと役立つ事が凝縮されています。

ランニングは大嫌い

大人になってよかったこと、持久走の授業がないこと。それくらいマルサイさんはランニングが嫌いでした。

持久走は中学時代ビリから2番目。高校時代は「走ってられっか!」と思い金網をよじ登りコースをショートカット。ズルして呼び出されしっかり怒られる。それから30年運動らしい運動はほとんどしていませんでした。

2020年コロナ禍となり外出禁止。巣ごもり生活となり、ストレスがたまり始めた頃、息抜きに週3回ほど子供と菓子作り。食べることだけが楽しみになり、家ごはんもリッチになる。その結果、あっという間に体重4kg増。

胸よりお腹が出てまさにおばさん体型を通り越しおじさん体型。しかしいずれ痩せると…。

息子の一言でランニングダイエット開始

危機感を感じつつも、暑くなれば自然と食欲も落ちてくるはずと…。

しかしある日、息子からの素直な見たままのキツイ一言
「お母ちゃんのお尻四角いね」

その一言に人生ラストチャンスをかけた筋トレダイエット開始。

その後ウォーキングも始めるが、さらに負荷をかけた運動ということでランニングも始める。しかし、いざ走ってみると、50mも走れず息が切れてしまう。あまりにも体力の無さに悔しさがあふれる。

ネットで調べると初心者は1km8~10分ペースでゆっくり走りましょうと。今日は早すぎたと思い、翌日はゆっくりペース走ると、150m走ることができたが、それでも息はゼェゼェ。しかし毎日走ったら痩せるんじゃないかと思い、30年ぶりに走るのが楽しいと感じた瞬間でした。

今日は30秒走ってみようと、毎回低めの目標を設定して、少しずつ距離も伸びていき、ついに中学校一周のコースをノンストップで走り切ることができるようになりました。マルサイさんの目標は速さより、距離を伸ばすことにしていました。

はじめてのランニングはゆっくりペース

マルサイさんのランニングの始め方は、これから始めようという方に、大変参考になる走り方です。

社会人になって運動不足を感じ、何十年ぶりか久しぶりに走ろうとすると、みなさん同様にマルサイさんと同じで何十メートルか走ると息が切れてしまいます。私も50mも走れずに息が切れてしまいました。そこであきらめてしまうか、再び挑戦するか。

マルサイさんはゆっくり走ればもう少し走れるのではと、再び挑戦し、前回よりも少し長い距離を走ることができました。そしてランニングを続けました。

ランニングをあきらめてしまう人は、息切れした時点で走る体力がない、とても走るのは無理、といって走ることを断念してしまう人が多いと思います。

走るのが無理ではなく、マルサイさんのようにゆっくり走ってみるなど、視点を変えればきっと誰もが走ることができると思います。もし、無理と思ってあきらめた人がいましたら、再度挑戦してみてはいかがでしょうか。

ランニングしてよかったこと

マルサイさんはランニングを続けるようになり、いろいろ変化を感じるようになりました。

寝付きがよくなったり、眠りも深く。朝もパッと起きられるようになったり。そしてなによりもの変化は「成し遂げた感」がすごいということです。たった5~10分走っただけなのに、「オレ(ワタシ)はやったぜ!」という満ち足りた気持ちでいっぱいになるということです。

初めはダイエットが目的だったのが、いつのまにか走ることがリフレッシュになっていたという、メンタル面にいい影響がでているようです。

ランニング効果

ランニングをはじめるようになって、さらにさまざまな効果をマルサイさんは実感しているようです。

  1. 姿勢改善/走る時のフォームは背筋を伸ばして走るので、普段もいい姿勢を保つようになり、猫背が治った。
  2. 睡眠の質の改善/以前はなかなか起きられなかったのが、寝起きが抜群によくなった。また寝付きもよくなった。
  3. 代謝アップ/汗をよくかくようになって、むくみもとれた。そして一番嬉しいのが、肌の調子がすこぶる良い。
  4. 食への意識/食べ物に気を使うようになった。とくにカロリーに関すること。
  5. 冷え解消/走ることで血流がよくなり、血行不良が改善したようです。
  6. 疲れやすさ改善/疲れにくくなった。一言で言えば体力がついた。

ランニング本の執筆

走り始めて2ヶ月、編集者から、なんとランニング本の依頼を受けます。初心者向けのランニング本があまりないということで、マルサイさんの実体験をもとに、実用書寄りの本にしたいということで、体験漫画で描くことになります。

それがこの本「40代からの心と体を整える ゆるランニング もちろんやせます」です。

ランニングアドバイザーによる指導も加わり、準備運動、ランニングフォーム、ストレッチなどランニングの基本的な指導をうけます。その内容も本にイラストなどで描かれ解説されています。

50mで息ゼェゼェのランニングから1年 ハーフマラソン完走しました

本の前半はランニングを始めるきっかけからダイエットを目的に走り始めたという内容ですが、継続して走っているうちに、単にダイエットのために走るのではなく、ランニングの魅力に徐々にハマり始め、メンタル的な部分に与える効果や、ランニングの様々なメリットを感じ始めます。

そのあたりの心的な動きを表現しながら、ランニングウエアーや初心者が走るにあたって、あると便利なランニンググッズなどをさりげなく紹介してくれてます。

本の後半はハーフマラソンに向けたトレーニングが中心です。ランニングアドバイザーより3ヶ月間の練習メニューを作成され、それにそったトレーニング。悪戦苦闘、奮闘努力の模様が描かれています。そしていざ大会へ参加。ハーフマラソンで見事完走。最後はちょっと感動します。

最初は家族、特に息子さんとの何気ないやり取りのお笑い劇場的な始まりから徐々にランニングの内容に移行していき、少しずつランナーになっていくマルサイさん。

そして1年後にハーフマラソン完走と、その進歩の度合いがすごすぎます。

そして最後の第6章、無限に広がるランニングの魅力。

その中で「まだ始まったばかりのランニングライフ。これからますます楽しくなりそうです」と締めくくってます。ちょっと第2弾を期待してしまいます。

まとめ

エッセイ漫画家が書いた本ということで単なる読み物と思っていたら、おおきな勘違いです。

この本はまさに、これからランニングを始めようという初心者、またランニングを始めようとして挫折した方、とりあえずランニンングに興味のある方など皆さんに読んでほしい一冊です。

この本のコンセプトは初心者向けで実用書寄りの本。これは編集者とマルサイさんとの打ち合わせの段階の話が、この本の中で出てきますが、その時編集者のランニング歴5ヶ月。マルサイさんは2ヶ月。まさにランニング素人の二人だからこそできた内容になっています。

まずはランニングを走り始める時、誰もがぶつかる壁で、50mも走れば息が切れてしまい、とてもランニングなんて無理と思ってしまい挫折してしまうことです。

そこのところ本の中に出てきますが、ゆっくり走れば少し距離が伸びるということに気がつきます。そして目標は『速さより距離を伸ばすこと』。そして徐々に距離を伸ばしていきます。

そしてもう一点『毎回ハードル低めの目標を設定したりしてゲーム感覚で楽しむ』ということです。長い距離が走れるようになるのも、一気に距離を伸ばすのではなく、少しずつ、少しずつ、できるだけ可能な距離を伸ばしていくようにするということです。

以上の2点は普通のランニングのノウハウ本には書いてないようなことですが、しかし初心者にとってはとても重要なことです。

この2点はまさに『ゆるランニング』の基本コンセプトです。

  1. 速さより距離を伸ばすこと
  2. 毎回ハードル低めの目標を設定しゲーム感覚で楽しむ

以上の2点がこの本の中で一番重要なことであり、実際にランニングを始める方は試してみてください。

最終的になんと1年でハーフマラソン、大会に参加して走り切ってしまうのですが、すばらしいことです。

1年でなかなか難しいですが、これをきっかけにランニングを始められた方はぜひ挑戦してみてください。

最後に本の中でマルサイさん、とても素敵な言葉、いや、私にとってはこれからランニングを始める人へ贈る「格言」といっても過言ではないと思います。その格言とは

『つべこべ言わずに とにかく走ってみた』

です。

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