競技力向上や怪我予防などを実現するフィジカルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏。
多くのアスリートからも指示を得ていて、青山学院大学駅伝チームのフィジカル教科指導も担当。
人気トレーナーとして書籍も多数出版しています。ランニングに関する本も数多く、今回はその中でも、ランニング初心者や、未経験者にもわかりやすく解説している、ランニングの入門書としてふさわしい一冊『図解 中野ジェ-ムズ修一のランニングの教科書』を紹介します。
図解というだけあって、ふんだんに図解が使われ、右ページが文章による解説、左ページが図解によりひと目で分かるようにほとんどの頁が組み立てられ、わかりやすくランニングの知識が身についてしまいそうな内容になっています。
本全体の構成もわかりやすく第一章では未経験者、初心者に向け大切なポイント、ランニングシューズはどんなものが良いか?ウエアー選びは?ランニング後のストレッチなど、ランニングを始める人にもわかりやすく、初歩的な内容から基礎知識。
そして第二章では従来のランニングの本とは少し視点を変えて、走るタイミングによって得られる効果が変化することに着目した「タイミングランニング法」。
ダイエットしたいなら朝の空腹時など、走る時間にによってランニング効果に違いを解説。
第三章では「より長い距離を走るために」とトレーニング方法から、長い距離を走るためのカラダずくりと、より実践的な内容を解説しています。
ランニング はじめの一歩は「習慣化」が最重要です。
この本第一章「ランニンング始めの一歩」で著者が、一番強調したいことは、走りたいという気持ちの「習慣化」です。
頁の中で「苦しければ歩いてもOK! 成功の鍵は『継続』」と言ってる通り、運動不足の初心者が最初から何十分も走り続けるのは難しいと思います。無理して走り続けると、下半身に負担がかかってケガをする恐れもあります。
そこでこれからランニングを始める方へのとっておきのアドバイスが「苦しくなったら歩けばいい」ということです。
ランニングによる効果は継続することによって、得られるのです。継続するためにはモチベーションが大切です。そのモチベーションを維持するには「楽しいから続けたい」と思えるようになることです。
ランニング初心者は始めのうちはすぐ苦しくなったり、キツイと思うのは当然です。そこで無理して走っていると、当然、キツイから走るのやめようかと思ったり、また足が痛くなり、ケガの元になることもあります。
最初のうちはキツイとか、苦しいと思えば歩けばいいことです。歩いているうちに、休めて走りたくなったら、また走り出せばいいのです。はじめは歩いている距離が長くても「継続」しているうちに少しずつ走る距離が伸びてきます。
そして初心者がランニングを楽しむコツは「少し頑張れば達成できる目標」。小さな目標設定です。10分走れたから明日は20分と上げるのではなく、明日は11分走ろうと、最低限の目標設定をつくります。小さな成功体験の積み重ねがモチベーション維持につながります。
ランニングは無理せず気楽に取り組もう
最後まとめの頁で、本書を通して著者が伝えたかったことの一つを語っています。それは「ランニングを嫌いにならないでほしい」ということです。
無理をして練習をすると嫌いになりますので、嫌いにならない程度にランニングに取り組んでほしいということです。そしてランニングは特別なことではなく、朝起きたら顔を洗って歯を磨くのと同じで、生活習慣の一部となるのが理想ということです。
ランニングの楽しいと感じることを見つけよう
楽しいと思うことは人それぞれ。走れる距離が伸びることが楽しいという人もいれば、タイムが縮まることが楽しいと思う人もいます。
ランニングを継続するためには、楽しくなる目的を持つことが大切であるということです。そのためには「無理な目標は立てない」「無理して走らない」ことを心がけることです。
そして最後に著者より「本書を手に取ったことでみなさんが生涯を通じてランニングを楽しめるようになることを祈ってます」
まとめ
ランニングが初めての方でもわかりやすく解説しているランニングの入門書です。トレーナーの解説するランニング本だけあって、フィジカルの点はもちろん、メンタル的な部分の悩みや疑問にも解決してくれる一冊です。
とくにランニング初心者にとっていかに「継続」して走ることができるかが鍵になりますが、その点もやさしく解決してくれています。ランニングは習慣化して、長く「継続」することによりランニングの効果、ほんとうの意味でのランニングの楽しさがわかってくるスポーツかと思います。
生涯を通じてランニングを楽しみたいという方にはおすすめの一冊です。