身長、体重、骨格など体のつくりは人によって違います。同様に走るときのランニングフォームも人によって違ってきます。あなたにとってのベストフォームはあなたが一番走りやすいかたちです。そしてあなたが一番走りやすいスタイルに近づくため、フォームを徐々に改善していきましょう。
チェックポイント
初心者の場合フォームを改善するといっても何を改善していいのかわからないと思います。そこでまずはフォーム改善のチェックポイントを。
- 目線/目線は真下を見ず前方を見る感じで。
- 背筋/少し反らすようなイメージ
- 腕の振り/肘を60~90度ぐらいに曲げ腕を「前に押す」のではなく「後ろに引く」感じを意識する。肩の力は抜いてリラックス。
- 上半身/体の軸を意識してリラックスして走る
- 下半身/腕のフリとともに軽くストライドが伸びる感じ
以上を意識しながら走ってみましょう。ただ一気にすべてをチェックするのは難しいので、その日によってポイントを絞ります。今日は目線と背筋、明日は腕振りと上半身と、日によって振り分けてみます。
体の軸、重心を意識する
走る時に意識することは、まずは体の軸です。基本的には上半身の姿勢で頭のてっぺんから背中、腰(骨盤)のあたりまで一本の棒が入ったような真っすぐの姿勢。背筋を反らす感じで、骨盤を前傾にします。骨盤を前傾とはお尻を上げる(ヒップアップ)感じです。すると上半身の軸をなんとなく体感できると思います。
次に上半身の軸を下半身まで結び足裏までまっすぐ一本の軸とします。その軸の重心を少しづつ前に倒すと、倒れないように自然と前に足が出てきます。これが走りの基本です。あとは足を左右に動かしていけば走りとなります。前傾になって走るときは軸を意識して腰を落としたりしないように注意してください。また猫背にならないよう背中も反った感じで、背筋を伸ばして走りましょう。疲れてくるとどうしても背中が丸まってくる感じになりますので、この点も注意しましょう。
足の運び
前傾姿勢で自然と足が出て右左と足を動かしていく、ということを重心を意識するところで話しました。
足が前に出る時の歩幅は、初心者の場合は意識せず足が落ちたところでかまいません。無理して広げようとせず、自然にまかせてください。右足がついたら、左足が前に出る。その繰り返しです。地面についた足は蹴るのではなく、足を運ぶ、前に持っていくといった感じです。
カラダが前に進むときは、ピョンピョン跳ねるような上下運動がないような走りをしてください。ランニング当初の走りはとにかく、自然なカタチの足の運びで大丈夫です。
ランニングの呼吸法
ランニングするときは「2回息を吸って、2回吐く」と昔学生時代にそう教えられた人もいるかと思います。しかしランニング中そのような呼吸法を意識する必要はまったくありません。「吸って吐いて」でも「吸って吸って吐いて」でもあなたにあった呼吸法でかまいません。ただ呼吸するときの注意点は口を開け、背筋を伸ばし、あごは少々上げて呼吸してください。これも以前「あごを引いて走る」と教えられたことも。少々あげたほうが呼吸はしやすいです。
ゆっくり走ってランニングフォームの改善
フォームを改善する時は、とにかくゆっくり走りで、体の各部分の動きをチェックしながら改善していきましょう。
トレーニング方法で心肺機能を高めるLSD(ロングスローディスタンス)というトレーニング方法があります。実はLSDは正しいフォーム作りにも役立つとても有効な走法なのです。
たとえばある程度スピードのあるランニングをしている中、カラダの各部分まで意識がいきわたるでしょうか。スピード練習ばかりしていると、タイムを意識してどうしても無駄な動きが出てきます。アゴが大きく上がってしまったり、上半身がついていかずモモが上がってしまい、重心が後ろに下がってしまったり。なんとか速く走ろうとしてフォームはバラバラになってしまいます。
その点LSDでゆっくり走ればカラダの各部分まで意識する余裕があります。ランニングフォームチェックはとにかくゆっくり走りでカラダと対話しながら走りましょう。
まとめ
初心者向けに、基本的なランニングフォームについて書いてみました。正確に言わせていただくと、ランニングする時のチェックポイントと言ったほうが正しいのかもしれません。
冒頭にも書いた通り人のカラダはみなさんすべて違います。同様にランニングフォームも走る人それぞれに違いがあるからです。あるトレーナーが面白いことを言ってます。「初心者が修正すべきはフォームではなくカラダです」と。ランニングするための筋力、柔軟性は、初心者には備わってなくカラダづくりからフォームづくり。おっしゃるとおりだと思います。
それとランニングフォームをなぜ改善する必要があるのか。その意味をよく考えてください。
フォーム改善の意味とはなにか。そのひとつは、いかに効率よく走るか。マラソンにたとえれば、42.195kmを効率よく(最小限の疲労)走るフォームとは。また別の意味では、故障しない走りをするフォーム。以前「陸王」というテレビ番組がありました。その中で登場したランナーが膝を痛めました。それから膝を傷めないフォームに切り替えました。以上をふまえ、ここで書かれたランニングフォームを参考に、自分のランニングフォームを考えてみてください。